戦後80周年プロジェクト/被爆クスノキ記念式を開催 生徒の主体的行動が名古屋市初を実現

6月7日(土)、中学生・高校生が平和について学ぶ「戦後80周年プロジェクト」として、長崎市で被爆したクスノキ2世の苗木を譲り受ける被爆クスノキ記念式が開催されました。

長崎市から「被爆クスノキ2世」を譲り受け、植樹へ

椙山女学園中学校・高等学校では、第二次世界大戦後80年目にあたる今年(2025年)に、「戦後80周年プロジェクト」を立ち上げ、年間を通して平和について学ぶ取り組みを進めています。
 
高等学校では、長崎の修学旅行を50年近く続けており、修学旅行の事前学習・現地研修・事後学習を通して、平和学習に力を入れています。本年度、プロジェクトの実施にあたり、第二次世界大戦中の「熱田空襲」において、本校に通っていた生徒や教員が犠牲となった6月9日を『椙山平和の日』と位置づけ、「椙山生と戦争」を切り口に、「原爆投下(被害)」と「なぜ投下に至ったのか(加害)」を包括的に学んでいます。
 
こうした中、平和を学び続けるためのシンボルとするために、長崎市から「被爆クスノキ2世」の苗木をいただき、本校に植樹することになりました。

生徒の主体的な行動が、「前例がない」を乗り越え、名古屋市初を実現

被爆クスノキ植樹の実現には、生徒が広沢一郎名古屋市長に送った一通のメールが大きな役割を果たしています。
 
もともと3年の浜田美幸さん、赤羽穂乃佳さん、松本萌さんが、社会科の丹羽宏文教諭の「戦争を語り継ぐ平和の種を広めたい」という自主的な平和活動への呼び掛けに応じ、2年前から授業でも部活動でもない週1回の独自の活動を続けてきました。そんな3名が修学旅行の事前学習で長崎を調べていた中で、被爆クスノキ2世の苗木の配布を知り、担当する長崎の日本非核宣言自治体協議会に連絡。名古屋市の許可が必要と知り、名古屋市に相談するも「前例がない」と大きな壁にぶつかってしまいました。
 
諦めきれない3人は、名古屋市長にメールで直談判。3人の熱い想いが市長に届き、名古屋市初の植樹の実現に繋がりました。
 

広がる平和学習と動き出す椙山生たち

6月9日の「椙山平和の日」には、3名が朝読書の時間を利用して、熱田空襲での本学関係者の被害や若い世代による平和活動の意義を全校生徒に放送で発表しました。
 
現在、3人の主体的な行動が伝播するように、3人が始めた平和活動に、他の高校生のみならず、中学生も参加し始めています。式典には80名以上の生徒が自主的に参加。また、植樹にともない、長崎市「クスノキ基金」への寄付のため、有志生徒たちが募金活動を実施するなど、「自主自律による自己実現」を掲げる本校の教育成果が各所で芽吹いています。
 
被爆クスノキ2世の苗木は40㎝ほどの大きさで、植樹は秋ごろを予定。中庭ロータリー付近に植樹され、本校の平和学習のシンボルにしていく予定です。