
言語を通して「人間」を学び、主体的・自覚的に物事を判断する力を
芝垣 亮介教授
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英語英米
東 珠実 教授
現代マネジメント学科
コンセプト作りから商品の企画・開発・宣伝・販売まで、ひとつの商品をトータルに手がける。企業と連携してプロジェクトを進め、学生のうちから社会と繋がる。消費者行動論を専門に、学生と数々の企業連携プロジェクトを手掛けてきた、東先生にお話を聞きました。
裁縫や料理などものづくりが好きなこと、また「生涯働きつづけるのなら、教育に関わる仕事が良いのでは」と、中学時代の恩師から助言もあり、家庭科教育が学べる学部に進みました。学ぶなかで家庭経済や家庭経営の領域に惹かれて、大学院に進学。家計消費行動を研究しました。
私の学問的な拠り所は、個人・家族をエンパワーし、よりよい生き方を追究する家政学です。本学は、戦後まもなく「家政学部」としてスタートしましたが、「家政学」という分野は、女性に広く高等教育の機会を提供した最初の学問です。家庭や家族の在り方や捉え方の変化とともに家政学部は生活科学部、生活環境学部などと名称を変えていますが、その歴史的経緯や意義を感じながら、学びを伝えていきたいと考えています。また家政学で学んだ消費者や生活者としての視点は、とても大事な「ものの見方」となります。これは、研究者としても大切にしている視点です。
私自身、もともと家庭科教員を志していたこともあり、教育にかける想いは人一倍強いのではないかと思っています。学生たちが自ら考え、クリエイティブな活動をする場など「さまざまな学びの機会に対して、教育者として一体何ができるのか?」をいつも考えながら学生たちに丁寧に接するよう心がけています。
学生たちには、自分らしく豊かに生きてほしいと願っています。そのためには、個性や価値観を大切にしながら、しなやかに目標を達成していく「自己実現」と、他者のために力を尽くす「社会貢献」が大切であると考えています。自分のやりたいことができているのは、一番幸せな状態です。また、自分らしい豊かな人生が送れているということは、裏側には必ず周りのサポートがあるはずです。「他の人のために何ができるか?」を考え、その想いで動いているうちに、巡り巡って自分の幸せや自己実現にもつながっていきます。
学生たちは「先生はいつも幸せそう、人生が楽しそう」と言ってくれます。私は日頃、学生に対して仕事も私生活もともに楽しんでいることを積極的に示すようにしています。生きる幸せを身をもって伝えられることもまた、私の役目の一つと心得て、学生たちのことばを嬉しく受け止めています。
人生を楽しむためのポイントとして、学生たちには「自分で考えて行動すれば何かが変わる」ことを経験してほしいと常々考えています。小さな成功体験を積み重ねていくことで確実に成長し、ステップアップできるでしょう。何かを達成できた、変化を起こせたという経験の場を準備し、学生たちが主体的に次の目標に向かうことができるよう、これからも努めていきます。
人生の設計図である「ライフデザインシート」を書いてもらう授業では、多様な生き方を求めている学生が増えてきていると実感します。さまざまな価値観や志向があるなかで、どのような考え方も否定せず受容しながら工夫して授業をしています。
「一人で生きる」「パートナーと生きる」「子どもを産み、家族で暮らす」など暮らし方ひとつとっても多くの選択肢があります。一人ひとりが自分らしい生き方や幸せを創り出してほしいと願っています。
またゼミでは、企業や行政と連携して、消費者行動の考え方を応用した商品企画やものづくりのプロジェクトを行っています。私の研究分野では、生活者や消費者の立場から家庭生活をより良いものにすることが目的ですが、今は家庭生活だけでなく社会全体を持続可能なものにすることが私の研究関心になりつつあります。社会が良くなれば、一人ひとりの暮らしも豊かなものになっていきます。
そして学生たちには、家庭でも、社会でも、本人が持つ個性や能力を発揮できるあらゆる場で活躍してほしいと願っています。職場はもちろん、地域など色々な場面で個性や能力が発揮できる機会があることが理想です。日本の女性は歴史的、国際的に見ても未だ意思決定に関わることが少ない現状があります。だからこそ、あらゆる場で自分の意見を外に明確に示すことができる、意思決定力とリーダーシップのある女性として育っていってほしいですね。