情報技術に面白さと可能性を見出し、社会を生き抜く術に

福安 真奈 講師

情報デザイン学科 

情報学は、私たちの身近なところで日々の暮らしを豊かにしています。情報の学びを社会に生かすには、技術力だけでなく、柔軟な発想や課題を的確に捉える力も必要です。
2024年4月、新しく生まれ変わる「情報社会学部情報デザイン学科」で、人々の生活の快適さや便利さに、情報学を生かす研究を行う福安先生にインタビューしました。

情報技術に面白さと可能性を見出し、社会を生き抜く術に

私は情報学を専門とし、行政やNPO法人、地域住民の方たちのお悩みの声をヒントに、ICT技術を活用した地域活性化の研究をしています。

情報の分野は、技術の進化に焦点が当てられがちですが、そればかりでは技術がなかなか直接的に社会に還元されにくい側面もあります。現段階で、私たちの身の回りにある情報技術の活用方法を社会に普及させる学問、また人材も必要とされていると考えます。

2024年度、本学で開設予定の情報デザイン学科では「情報のスペシャリストを養成する」という目標を掲げています。情報学は理系分野ですが、社会調査などの文系分野の要素も必要とされています。技術力と同時に柔軟な発想力を育める学び環境を提供できるよう、今から構想を描いています。

地域交流やグループワークを通し、対話力を身に付ける

私の研究分野においても、様々な立場の方が対等な関係で意見交換し、それぞれ役割を担ってひとつの目標に向かうことが求められます。私自身が立場の異なる人を理解し、支え合い、共に進んでいける自分でありたいし、学生にもそうあってほしい。そのために、私は教員として学生と向き合ったときも同じ目線に立って「協働」を体現できるよう心掛けています。

どれだけ努力をしても、ひとりでできること、考えつく発想には限界があります。できるだけ多くの意見を取り入れながら一緒に学ぶ機会が設けられるよう、授業ではグループワークを多く取り入れ、自分の意見を発表する時間、周りの話を聞く時間を大切にしています。

また、ゼミ生と地域に出向き、地域の人の話を聞いて一緒に解決していくことも実践しています。学生のうちから地域の方の声を聞いて課題を発見し、解決に向けて知恵を絞る経験は、大きな学びにつながります。どれだけ多くの知識を持っていたとしても、活用する力がなければ意味がありません。豊富な知識とコミュニケーション能力を持ち合わせ、多くの人に技術を届けられる人材を育成したいですね。

身近な暮らしのなかでICTの利活用を目指す

ICTというと、企業や農業、医療などに用いられる新しいシステム等のイメージを持っている方も少なくありません。実際に新たな技術は次々と開発され、その恩恵を受けている分野もあります。しかし暮らしのなかに目を向けると、まだ技術の進歩を実感しづらい分野が多くあるのではないかと感じ、地域における身近なICT利活用の研究を始めました。

このテーマにアプローチするため、まずは地域のICTリテラシーの向上に取り掛かりました。私の研究は、地域や一般家庭などごく身近な範囲で役立てられる内容です。新しく何かを作りだすというよりも「今簡単に手にできる便利なものをどこに使えば生活が豊かになるのか?」そういった工夫やアイデア次第でICTの可能性を広げることができます。

例えば地域の方から「SNSでの情報発信方法を教えてほしい」という依頼があったとき、SNSに慣れ親しんだ学生たちに任せてみたことがありました。すると、やはり若者の視点ならではの斬新な発想がみられましたし、それに対して依頼者から良いリアクションをもらえたので、学生たちにとって自分の知見を役立てることができたという自信になったと思います。

情報を扱う力は幅広い業界で求められており、もはや生き抜く術とも言えるかもしれません。学生たちに伝えていくことはもちろん、少しでも多くの方々に情報に親しんでもらえるような活動にも注力していきたいですね。

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