外国語学部:児童書専門店「メルヘンハウス」で海外の絵本の翻訳について学びました

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このニュースのポイント

  • 外国語学部の学生が日本初の児童書専門店「メルヘンハウス」を訪問。海外の絵本を題材に、翻訳について学びました。
  • 原文と日本語訳を比較し考察することで、翻訳や出版をはじめとしたさまざま言語を扱う仕事につながる「伝える力」を身に付けます。
10月2日(金)、外国語学部の専門教育科目「翻訳論」(担当:西村和泉教授)を受講する学生12名が、児童書専門店「メルヘンハウス」(名古屋市千種区)を訪問しました。
海外の絵本が日本の読者に届くまでに、どのように言葉が選ばれているのか。実際の絵本を題材に、翻訳について学びました。

日本初の児童書専門店「メルヘンハウス」を訪問

「メルヘンハウス」は、「子どもたちに良い本を!」を理念に、1973年に三輪哲氏が創業した日本初の児童書専門店です。
ネット通販や書籍業界の不況などにより2018年に45年の歴史に幕を閉じましたが、2021年に二代目の三輪丈太郎氏が現在の実店舗をオープン。店内には三輪氏がセレクトした約100タイトルの絵本が並び、子どもたちが自由に読むことができます。

人生のどこで出合っても絵本は面白い

三輪氏によるレクチャーではヨーロッパを中心とした海外の絵本を題材として取り上げました。

その中の1冊『すてきな三にんぐみ』(偕成社)は、3人の泥棒がみなしごの女の子と出会う物語で、三輪氏にとって人生のバイブル。
子どもの頃にこの絵本を読んでもらった時は、純粋に「自分もみなしごになって毎日友達と遊びたい」と思ったそうです。しかし、23歳の頃に再度この本に出合った時には、ミュージシャンを目指し上京したもののアルバイト先と家との往復だけをしてしまっているうだつの上がらない自分が、宝物の使い道を聞かれても答えられない泥棒たちに重なって見え、奮起するきっかけになったといいます。

三輪氏はこの経験から、絵本には読み手の年齢や心情によって受け取り方が変わる面白さがあり、人生のどこで出合ってもよく、様々な世代で読み継ぐことができると話しました。

『すてきな三にんぐみ』の原題は?

続いて注目したのが訳者の今江祥智氏による翻訳です。
この作品はフランス出身の作家トミー・アンゲラーが1961年にアメリカで出版したもので、原題は“The Three Robbers”。直訳すると「三人の泥棒」ですが、今江氏は『すてきな三にんぐみ』と訳しました。三輪氏は、この翻訳こそが子どもたちに物語の魅力を伝え、日本でベストセラーとなった要因の一つであると話しました。

さらに、原文に出てくる“one bitter black night”という一節についても紹介がありました。
直訳すると「ほろ苦い夜」と泥棒たちの罪悪感を表現した情景描写になりますが、今江氏は「ある すみをながしたようなよるのこと」と異なる表現で訳しました。三輪氏は「墨を流す、という表現からは濁りのない澄んだ印象が受け取れることから、翻訳版では泥棒の罪悪感ではなく、みなしごの純粋さが伝わるように視点が変わっており、物語をさらに広げている」と話しました。
また、絵本の翻訳で大切なこととして挙げられたのが、「絵とのバランス」と「言葉の選び方」です。例えば、絵に多くの情報が含まれている場合は、言葉を減らして子どもが読みやすくすることも必要になります。また、海外の物語を日本語に訳すためには、直訳するだけでなく日本語の言葉の持つ意味をよく知る必要があるという話もありました。

レクチャー後、学生たちは三輪氏の解説を受けながら店内を見学。ひとり1冊、自分が学んでいる言語が原著となる絵本を選びました。今後はそれぞれが選んだ絵本の原文と日本語訳を比較し、翻訳について考察を深めていきます。