一人一人が豊かな個性を
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人にとって幼児期は家族から始まる人間関係を広げ、社会への足がかりを見つける時期です。それと同時に、子育てに関わってきた家族の皆さんも、子どもを介して今までとは違う形で社会に参加していくことになります。幼稚園での経験がその第一歩となるお子さんもおられるかと思います。
私には発達障害と診断された次男を含めた3人の子どもがいますが、全員この園でお世話になっています。保護者から園長へ、という大変レアなケースです。私が園長に就任するにあたり子ども達が両手を挙げて送り出してくれたことが、彼らがこの園で何を得たのかを物語っていると思っています。
私が子ども達を連れて毎日通っていたのは絵本に出てくるような可愛らしい赤い屋根の園舎でした。今はダイナミックな造形の近代的、というより近未来的な建物に生まれ変わりましたが、そこに詰まっている思いは変わりません。
中に入れば、子どもの発達に合わせて心身の機能を刺激する工夫が随所に凝らされています。子ども達はそこでそれぞれの居場所を見つけ、ときに力一杯活動し、ときに安らぎ、ときに感覚を研ぎ澄ませて幼い思考を巡らせています。活動の中で、互いに協力し合ったり、譲り合ったり、ぶつかったときには解決策を見出す等、人間関係を作ることも学習していきます。そこには、そんな子ども達を見守り、ときには介入して導く教職員がおり、共に成長し変化します。
椙山女学園大学附属幼稚園は山添の街で長く幼児教育に携わり、歴史を重ねて参りました。これもひとえに地域の皆さまや保護者の方々のご理解とご協力のおかげです。これからも学園全体のモットーである「人間になろう」にふさわしい、一人一人の個性と尊厳を重んじる教育を追求いたします。私が子ども達をお願いしてきた、今も彼らやその友達に慕われている経験豊かな先生方も一緒に、子ども達と豊かな時間を過ごしていきます。 -
椙山女学園大学附属幼稚園
園長 堀田 あけみ
プロフィール
堀田 あけみ(Hotta Akemi)
名古屋大学教育学部教育心理学科卒業。その後、同大学院教育心理学研究科満了。専門は発達学習心理学。発達障害の支援も行う。
非常勤講師を経て2009年より椙山女学園大学 国際コミュニケーション学部(現・外国語学部)准教授。2016年教授、現在に至る。
高校時代より文筆活動にも従事し著書多数。中日新聞にコラムを連載。