現代社会学科:小林かおり准教授が海洋環境保全に関する国際会議で招待講演 —フィリピンで二つの国際ワークショップも主催—

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現代社会学科の小林かおり准教授がフィリピンの国際会議で基調講演。海外の研究者や地域の人々と協働し、地球規模の課題解決に挑む取り組みを紹介します。
6月4日(木)、フィリピンのサンカルロス大学(University of San Carlos)で開催された環境科学に関する国際会議「13th Annual International Conference on Environmental Science」において、現代社会学科の小林かおり准教授が全体会議基調講演者(Plenary Speaker)として招待され、「An Interdisciplinary Study of Marine Plastic ‘Release’ and ‘Stranding’: Community Risks and Biodiversity Analysis in the Philippines and Japan」と題する講演を行いました。

講演では、フィリピンから海へ「放出(Release)」される海洋プラスチックごみと、日本の島嶼部などへ「漂着(Stranding)」する海洋プラスチックごみを一連の越境する問題として捉え、フィリピンと日本で進めてきた調査研究の成果を紹介しました。当該研究は、社会科学を基盤としながら、海洋環境や生物多様性などを専門とする自然科学系研究者とも連携して進める文理融合型の研究であり、海洋プラスチック問題を「ごみがどこから来たのか」といった問題だけでなく、地域社会への影響や生態系へのリスクを含めて多角的に捉える点に特徴があります。

こうした分野横断的な研究アプローチには高い関心が寄せられ、講演時の質疑応答に加え、終了後にも多くの参加者が小林准教授のもとを訪れ、研究内容や今後の展開について活発な意見交換が行われました。
  • 多くの聴衆が集まり、盛況となったサンカルロス大学SAFADシアターでの講演

  • 講演後には、実行委員会より小林准教授へ感謝状と記念品が贈呈された

研究成果を「現地での学び」と「社会実践」へ

小林准教授の研究のもう一つの特徴は、研究成果を論文や学会発表だけにとどめず、教育や地域社会での実践へとつなげていることです。

2026年3月には、トヨタ財団の助成を受け、セブ島のツーリズム関係者と海上スラム地域の若手コミュニティ・リーダーを石垣島・西表島へ招聘し、日本・フィリピン・台湾の研究者・関係者による国際合同調査を実施しました。その目的の一つは、海へ放出されたプラスチックごみが海流などによって国境を越えて移動し、遠く離れた地域へ漂着する現実を、現場で共有することでした。
 
セブ島から参加したメンバーは、西表島の海岸に大量のプラスチックごみが漂着している状況に加え、それらがマングローブなどの樹木に絡まり、生態系にも影響を及ぼしかねない状況を目の当たりにしました。自分たちが暮らす地域から海へ流出したごみが、海を越え、別の国や地域の自然環境や人々の暮らしに影響を与える可能性があります。現地でその現実に触れた経験は、参加者にとって海洋環境問題を捉え直す大きな機会となりました。そして、この経験を参加者だけのものにせず、セブの地域社会へ還元するため、帰国後は小林准教授とともに国際ワークショップの準備を進めました。

2026年6月1日にはセブのツーリズムに関わるプロジェクト関係者を対象に、さらに6月5日には海上スラム地域の若手コミュニティ・リーダーを対象に、それぞれ国際ワークショップを開催しました。石垣島・西表島での調査に参加したメンバー自身が現地で見たこと、感じたことを共有し、参加者とともに海洋プラスチック問題について考えました。

こうした活動を通じて、海洋環境問題を単に「自分たちの地域のごみ問題」として考えるのではなく、一つの地域から海へ放出されたごみが国境を越えて移動し、別の地域の環境や社会へ影響を及ぼす「越境する課題」として捉える学びへと発展しています。
セブ島のツーリズム関係者を対象に開催した国際ワークショップ。海洋プラスチックごみをめぐる課題について意見を交わし、ワークショップを契機に、参加者が日常的にマイボトルを使用するようになるなど、環境に配慮した具体的な行動への変化も報告された。
海上スラムで開催された国際ワークショップには、地域でリーダーシップを発揮する若者たちが参加。石垣島・西表島を訪れ、海洋漂着ごみの調査に参加した代表者が現地での経験や学びを共有し、それを起点に海洋プラスチックごみをめぐる活発な議論が繰り広げられた。

海外での研究の最前線を、本学学生の学びの場へ

海洋環境問題は、一つの国や地域だけで解決できる問題ではありません。また、研究者や専門家だけで解決できるものでもなく、行政、企業、市民社会、地域コミュニティ、そして次世代を担う若者など、多様な主体が協働して取り組むことが求められます。

小林准教授は、海外の大学・研究者や地域のさまざまな組織と連携して研究を進めると同時に、こうした国際的な研究・実践の最前線を、本学学生の教育へつなげることにも取り組んでいます。学生は教室で知識を学ぶだけではなく、実際に地域へ足を運び、現場を調査し、現地の人々と交流することによって、地球規模の課題と地域社会とのつながりを具体的に考えることができます。

現代社会学科では、こうした国内外のフィールドを活用し、「現場を調査する」「現地の人々と交流する」「異なる立場の人々とともに考える」学びを展開しています。

その一環として、本年度も8月5日から8日まで、学生を引率したフィリピン・セブ研修を実施しました。国際的な研究活動の現場が学生にとってどのような学びの場となったのかについては、9月上旬公開予定の記事で紹介します。