現代社会学科:本学学生が企画・運営した大学体験イベント—ブラジル人学校の生徒と大学生が共に学ぶ次世代育成プログラム

ニュース

このニュースのポイント

学んだこと
現代社会学科の学生は、ブラジル人学校の生徒との交流イベントを企画・運営しました。活動を通して、言葉や文化の違いがある相手に分かりやすく伝える工夫や、多様な人と協力することの大切さを実践的に学びました。また、多文化共生社会について理解を深める機会となりました。 
 
学んだことの活用例
この学びは、企業や行政、学校、地域活動などで多様な人と関わる際に生かすことができます。相手の立場を理解しながらコミュニケーションを取り、課題解決に取り組む力につながります。
現代社会学科の学生が7月9日(木)、豊田市のブラジル人学校「イーエーエス豊田校」の生徒を本学に迎え、大学体験イベントを実施しました。
このイベントは、トヨタ財団の助成を受けて進めている次世代育成プロジェクトの一環です。日本で長期的に生活する外国にルーツをもつ生徒が、日本の大学や社会について理解を深め、将来の進学やキャリアの選択肢を広げることを目的としています。同時に、本学学生が異なる言語・文化的背景を持つ生徒との交流を主体的に企画・運営し、多文化共生について実践的に学ぶ機会として位置付けています。
当日は、2限の「基幹演習」から3限の「社会開発論」、さらに昼休みを含む約4時間にわたり、学年や授業の枠を越えて学生が交流プログラムを担当しました。また、豊田市役所の関係2部署と三井物産株式会社の関係者も来校し、学生とブラジル人学校の生徒による交流の様子を見学しました。

2年生が学食での交流を実施

イベントは、2限の「基幹演習」(担当:小林かおり准教授)から始まりました。2年生の学生は、ブラジル人学校の生徒を学食に迎え、昼食をともにしながら交流するプログラムを実施し、翻訳アプリなどを活用して積極的にコミュニケーションを図りました。
学生たちは、初めて大学を訪れる生徒が緊張せずに過ごせるよう、言葉だけに頼るのではなく、身ぶりや表情、分かりやすい言葉を使いながら、大学生活や互いの日常を会話のテーマに交流しました。
学食で実際に昼食をとる経験は、ブラジル人学校の生徒にとって、大学生の日常やキャンパスでの生活を身近に感じる機会となりました。本学学生にとっても、相手の反応を見ながら交流の方法を工夫する実践的な学びとなりました。
食券の買い方やメニューについて説明する大学生と興味を持って聞くブラジル人生徒
注文の仕方を説明する本学学生
無事、学食をゲットできました!

昼休みにはキャンパスを案内

昼休みには、2限に続き、本学2年生の学生がブラジル人学校の生徒をキャンパス案内しました。教室や図書館など、大学生が普段利用している施設を巡りながら、大学での学びや学生生活について紹介しました。
実際にキャンパスを歩き、大学生と直接話すことによって、生徒たちにとっては大学を具体的にイメージする機会になりました。

3年生が体験型プログラムを企画・運営

3限の専門教育科目「社会開発論」(担当:小林かおり准教授)では、3年生の学生が企画した体験型の交流プログラムを実施しました。
「社会開発論」では、地域社会、教育、貧困、環境、多文化共生などの社会課題について学び、調査した内容をもとに解決策を考え、実践につなげるプロジェクト型学習に取り組んでいます。
今回のイベントに先立ち、小林准教授は、「在留ブラジル人生徒の進路やキャリアに関する意識調査と現状—イーエーエスブラジル人学校豊田を事例に—」をテーマに講義を行いました。
調査から、多くの生徒が進学を希望している一方、日本語力、受験準備、進学情報、相談機会などの面で課題を抱え、日本の大学への進学を具体的にイメージしにくい状況があることが示されました。
学生たちはこうした背景を学んだうえで、「大学をより身近に感じてもらうためには、どのような体験が必要か」「言語や文化的背景が異なる参加者が一緒に楽しむためには、どのような工夫ができるか」を話し合い、プログラムの準備を進めました。
当日は、学内スタンプラリーを中心に、日本文化や大学生活に関するクイズ、「観光・まちづくり」の知識を生かした東海3県の観光地や特産品を紹介するすごろく、日本での生活マナーや多文化共生の政策で重要な防災をテーマとしたアプリゲームなどを実施しました。
ブラジル人学校の生徒と本学学生はグループに分かれ、協力しながら優勝をめざしクイズやゲームに取り組みました。学生たちは、生徒の日本語力への配慮し、時にジェスチャー、イラストなどを組み合わせながら説明しました。活動を進めるなかで、言語や文化の違いを越えた自然な会話や助け合いが生まれました。
すごろくを用いたクイズに取り組む生徒・学生
午後のイベントでリーダーを務めた竹内璃未さん
皆で協力し合いながらクイズの回答を考えている様子
回答の速さも競い合うオンライン式のクイズにも挑戦
正解率や速さを競うグループ別スタンプラリーで、一位となり景品を獲得したチーム。 一位から三位までのグループに、愛知県にゆかりの深い景品が贈られました。これらの景品も学生たちが話し合いをした上で決定し、準備しました。

約4時間の大学体験を通して将来を考える

今回のイベントは、一つの授業内だけで完結するものではなく、午前11時から午後3時まで、学食での交流、昼食、キャンパス案内、体験型プログラムを組み合わせた一連の大学体験として実施されました。
ブラジル人学校の生徒は、キャンパスを訪問するだけでなく、大学生と昼食をとり、施設を巡り、授業時間内の活動に参加することで、大学生活を多面的に体験しました。
外国にルーツをもつ生徒の進路の可能性を広げるためには、進学情報を提供するだけでなく、実際に大学を訪れ、大学生と交流し、「大学は自分にとっても身近な場所である」と感じられる経験を積み重ねることが重要です。また、受け入れる教育機関や地域社会にも、生徒の文化的・言語的背景や多様な可能性を理解し、既存の枠組みにとらわれず、誰もが自らの力を発揮できる学びの機会を共につくっていく柔軟な姿勢が求められます。
 

学年を越えて取り組んだ次世代育成

本学学生にとっても、今回のイベントは、多文化共生社会における教育や進路の課題を、当事者との交流を通して理解する実践的な学びの場となりました。
2年生は学食での交流やキャンパス案内、3年生は事前調査を踏まえた体験型プログラムといった、それぞれの授業で学んだ内容を生かしながら、学生たちは参加する生徒の立場を考え、準備、案内、交流、運営に主体的に取り組みました。
また、本学学生が一方的に支援するのではなく、ブラジル人学校の生徒と大学生が、対話や活動を通して互いの生活や文化を知り、共に学んだことも、今回のプログラムの大きな特徴です。

現代社会学科では、今後も地域、学校、行政、企業、NPOなど多様な主体と積極的に連携し、地域社会の課題を調査・分析するだけでなく、解決に向けた取り組みを自ら企画し、実践できる人材の育成を進めていきます。

この学科の学び