現代社会学科: 産官学連携で挑む多文化共生の最前線 —次世代音響技術「音声マルチスポット再生技術」を活用した社会実証を豊田市で実施—
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このニュースのポイント
現代社会学科 小林准教授は、豊田市と協力しながら「多文化共生(いろいろな国や文化の人が一緒に安心して暮らせる社会)」の研究と実践に取り組んでいます。
このプロジェクトでは、国の研究機関が開発した最新テクノロジーを使い、“言葉の壁”をなくすための実証実験を行っています。
注目しているのは、同じ場所にいても、立つ位置によって聞こえる音声が変わる不思議な技術「音声マルチスポット再生」。
必要な人に、必要な言語で、必要な情報を届けることができる未来型のしくみです。
大学・企業・行政が力を合わせ、テクノロジーで多文化共生を支える新しい社会づくりに挑戦しています。
1月21日(水)、トヨタ財団特定課題(外国人材の受け入れと日本社会)採択事業「豊田市発!産官学連携による在留外国人定住化に向けた多文化共生次世代育成」(代表:小林かおり准教授)の一環として、次世代テクノロジー「音声マルチスポット再生技術」に関するワークショップおよび実証実験を豊田産業文化センターにて開催しました。
本技術は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した革新的な音響制御技術です。特定のエリア(スポット)ごとに異なる音声を再生し、隣接する音声と混ざることなく、必要な場所にのみ明瞭な音声を届けることができます。従来の多言語単純再生では、複数言語の音声が空間内で混在し、聞き取りづらくなるという課題がありました。しかしマルチスポット再生では、聞き手が立つ位置に応じて音声が明確に分離されるため、同一空間内で複数言語の情報を同時に提供することが可能となります。
現在、本技術はNTTデータカスタマーサービス株式会社(NTTデータCS)により社会実装に向けた実証実験が進められており、海遊館や日本科学未来館などで活用可能性が検証されています。

これまで、本技術は、博物館や水族館における多言語解説、展示会ブースでの音声PRなどを主な用途として想定されてきました。トヨタ財団プロジェクトでは、NICTの多言語同時通訳技術との融合可能性に着目し、急速に多文化化が進む日本社会において、自治体行政や地域コミュニティの現場でどのような活用が可能かという新たな視点から実証を行いました。
当日は、NTTデータCSの担当者によるプレゼンテーションおよび実証実験が実施されました。これを受け、豊田市役所の複数部署および関連施設、三井物産株式会社、そして本学が参加し、多角的な視点から実装可能性について検討が行われました。外国人労働者の増加やインバウンド拡大を背景に、自治体における「言語の壁」への対応は喫緊の課題となっています。本技術を活用した具体的な応用可能性について、産官学それぞれの立場から実践的な意見が交わされ、活発な議論が展開されました。
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具体的な応用可能性検討
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本プロジェクトは、地域社会の実情に根ざした社会科学的知見と最先端ICT技術を融合させ、実効性のある社会実装モデルの構築を目指しています。今後は、AI技術を活用した社会課題解決の枠組みを他自治体とも共有できるしくみへと発展させ、類似の課題を抱える地域との横断的連携を進めていきます。
多様化する社会において、本プロジェクトは産官学連携を通じて、誰もが安心して暮らせる多文化共生社会の実現に貢献するとともに、その成果を本学の教育実践にも還元してまいります。