外国語学部・国際コミュニケーション学部:日本社会の“見えない現実”に迫る社会派映画と対話—マガヴォイ監督と学生が英語でセッション

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 11月27日(木)、外国語学部において、ドキュメンタリー映画『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』の上映会を開催し、外国語学部1年生を中心に、国際コミュニケーション学部の学生も含め、約250名が参加しました。
この作品は、日本の子どもの13.5%が貧困状態にあるという現実を、シングルマザーの声を通じて描いたもの。オーストラリア出身の監督ライオーン・マカヴォイ氏が、日本社会の“見えない現実”に迫り、世界41の映画祭で公式選出、17部門で受賞した話題作です。
作品では、日本のシングルマザーの就業率が先進国の中でも高い一方、その半数以上が貧困状態にあるという矛盾を指摘。国の支援制度は脆弱で、子育てと仕事の両立に苦しむシングルマザーが孤立しやすい現状を描いています。また、経済成長と家族の変化を背景に、人づき合いが乏しくなった社会で、助けを求める声が届きにくい状況を浮き彫りにしています。監督は「日本社会には外から見えにくい沈黙がある。それを映画で可視化したかった」と語り、観客に「ママも子どもも私たちもみんな一人じゃない、手を差し伸べ、その手を取り合う文化を育ててほしい」とメッセージを送りました。
上映後には、マカヴォイ監督による質疑応答セッションを実施。「なぜこのテーマを選んだのか?」「撮影中の苦労は?」など、学生からは流暢な英語で次々と質問が飛び出しました。さらに、シングルマザー支援団体や当事者の方々の話も聞くことができ、日本社会における孤立や支援の課題について理解を深める時間となりました。
外国語学部では「地球市民」の育成を教育目標に掲げ、語学だけでなく文化や社会問題を多角的に学ぶプログラムを展開しています。今回の上映会は、英語力を実践する場であると同時に、社会課題に向き合う姿勢を養う教育の一環です。参加した学生からは「現状を知ることで、助けを求める人の力になりたい」という声も上がりました。本学は、こうした体験を通じて、学生が主体的に社会と関わり、より良い未来を創る力を育んでいきます。