現代社会学科:愛知県の多文化共生について豊田市を事例に行政や草の根組織と共に考える特別講義を実施
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5月28日(水)、現代社会学科の専門教育科目「多文化共生論」(担当:小林かおり准教授)において、豊田市役所多様性社会共創課の木下開斗氏と一般社団法人JUNTOS代表の吉村迅翔氏を講師に招聘し、特別講義を行いました。

「多文化共生論」では、理論的な学びはもちろん、ペアワーク・グループワーク、そして企業・行政・NPO等といった実務者との交流や講義を通して多文化における共生について学びます。今回の授業は、ブラジル人住民数が愛知県の中で二番目に多い豊田市を事例に、地域社会の取り組みについて講演をしていただき、その実践例について一緒に考えていきました。
木下氏は、住民の20人に1人が外国人住民である豊田市における共生社会の実現に向けて、豊田市が行っている取り組みを紹介。「言葉の壁」をなくすために多言語に対応した通訳・翻訳サポート、やさしい日本語の普及啓発、幼児向けの日本語教育を実施している他、「制度の壁」「心の壁」も壁を取り除き、「“外国人”という概念がなくなり、みんなが同じ住人と思えるようになるのが理想」であると、多文化共生における理想を話されました。

次に、豊田市のなかでも特にブラジル人が多い保見団地で地域づくりを目的とした活動をしている(一社)JUNTOSの吉村氏が、学習支援や地域イベント等の活動について紹介。吉村氏は、自身が大学2年生の時にゼミの一環で“たまたま”保見団地を訪れたことをきっかけに、周りから聞いていたネガティブなイメージとは異なる、明るく温かな雰囲気の保見団地にかかわっていきたいと思い、同じ志を持つ同世代の大学生たちと一社JUNTOSを立ち上げました。
活動をする上で大切にしていることは、支える・助けるという視点ではなく対等な関係で“みんなで一緒に考える”こと、先生でも家族でも友達でもない気軽に話しやすい“ななめの関係性”でいることとし、活動を通して「人の“つながり”が広がっていくことが一番の幸せ」「実際に自分の目で見て感じることを大切。大学生だからこそ、色々なことに挑戦してほしい」と笑顔で話されました。

聴講していた学生たちからは、「自分の目で見て体験から知ろうとする姿勢を見習わなければいけないなと思いました。自ら一歩踏み出してみるという行動が大切なのだと学びました」「できることを率先してやっている人がいることを知って、私も何か役に立つことをしなければいけないと思った」といった声が上がり、実際に多文化共生に関わっている行政や団体の活動やそこにある思いを理解するだけでなく、今後の大学生活を有意義に過ごすヒントも多く詰まった講義になったようです。


