現代マネジメント学部「ビジネスプランコンテスト」│STATION Ai株式会社
ビジコンから始まった挑戦。学外で活躍する2人の学生の軌跡
現代マネジメント学部では、学内外の大学生と高校生を対象に、独自のビジネスプランコンテストを主催しています。このビジコンへの参加をきっかけに、学外のビジコンや起業家支援プログラムへの参加など、活躍の場をさらに広げていく学生たちがいます。
今回は、学内外で多くのチャレンジを経験してきた学生2人と、彼女たちの挑戦を後押ししてきた椙山教授、そしてSTATION Ai株式会社 コミュニティーマネージャーとして活動しながら、学生起業家育成プログラム「STAPS」の運営代表も務める片岡裕貴さんに、これまでの軌跡と今後の展望についてお話を伺いました。
ビジコン参加を契機に広がった挑戦の場
—現代マネジメント学部が主催するビジネスプランコンテストについて教えてください。
椙山 現代マネジメント学部では、学部独自のビジネスプランコンテストを2013年から主催しています。学内外の大学生と高校生を対象に、社会や地域が抱える問題に目を向けた課題解決プランを募集し、教員や外部のアドバイザーがメンターとなり、プランのブラッシュアップを支援します。受賞したプランは関連の企業関係者へのプレゼンテーションの機会も設けています。
—加藤さんと水谷さんがビジネスプランコンテストに参加したきっかけは?
加藤 私は佐々木圭吾先生のゼミに所属しているのですが、同じゼミの友達に誘われて、2022年のビジコンに参加しました。それまでは起業に興味があったわけではなく、学内ビジコンの存在も友達に教わって初めて知りました。
水谷 私も同じで、もともと起業や事業創造に興味を持っていたわけではありませんでした。私が所属している椙山ゼミでは、学生が全員ビジコンに参加するので、2023年、2年生の時に初めてビジコンに応募しました。
—初めてのビジコンはいかがでしたか。
加藤 アイデアを出すことにはすごく苦戦しました。でも、「課題を見つけようとするのではなく、自分の困りごとから考えてみたら」という椙山先生のアドバイスを聞いて、身近な困りごとであった「生理」について考えてみることにしました。最終的には、ビジコンではポケットティッシュ兼用の生理用品のアイデアを発表して、最優秀賞を受賞しました。
水谷 私は農業の人手不足を解消するアイデアで応募しました。結果、書類選考で落選してしまったのですが、ビジコンに向けて準備する中で、自分でアイデアを考えて人に話したり、それを評価してもらったりする経験をして、とても楽しいなと感じました。
—お二人はこの学内のビジネスプランコンテストをきっかけに活動を広げていったと聞きました。学内ビジコンの後はどんなことに取り組んでいましたか?
加藤 ビジコンで最優秀賞を受賞したものの、講評では「商品化は難しいだろう」と言われてしまい、どうすればビジネスにできるのかなと悩んでいました。そんな時に社会人のメンターさんから「起業支援に詳しい椙山先生に相談してみたら?」と背中を押していただいて、初めて研究室を訪ねました。
椙山 一度相談に来てくれた後は、定期的にメールでやりとりするようになりましたね。起業に関する本を紹介したり、学外プログラムの参加を迷っていたので、背中を押したりしていました。その後、加藤さんは学生起業家育成プログラム「STAPS」に参加することになりました。
水谷 私は、学外のビジコンに応募したり、スタートアップ企業のインターンシップに行ったりしていました。3年生に進級した直後にゼミで、中国の大学と愛知県の連携プログラム「Aichi-China Innovation Program」を紹介され「優勝したらタダで中国に行ける!」と聞いて、私は海外旅行が好きなのですぐに参加を決めました(笑)。このまま大学生活を終わらせたくない、何か挑戦してみたいという気持ちもあったので決断は早かったですね。 このプログラムにはさまざまな大学から参加者がいて、そこで出会ったメンバーとチームを組みました。チームで話し合い、当時はコロナ禍でカフェでオンライン会議をしている社会人の方が多かったので、画像認識と読唇術を組み合わせ、声を出さなくてもオンライン会議ができるサービスが良いのではと考えました。 結果は2位でしたが、メンバーの1人が「STAPS」に応募していたので、次のチャレンジの機会を得ることができました。
学外に飛び出し、同世代の仲間から得た刺激
—加藤さんは2024年春期、水谷さんは2024年夏期の「STAPS」に参加されたと伺いました。運営代表の片岡さんから、どんなプログラムなのか改めて教えていただけますか?
片岡 「STAPS」は、「起業を当たり前の選択肢に」をテーマに掲げる学生起業家育成プログラムです。愛知県が主催、STATION Aiが運営を担い、年2回、春期・夏期に実施しています。参加者は1.5カ月の間、メンターや先輩起業家から学びながら自身のアイデアをブラッシュアップさせ、最後にコンテスト形式でプレゼンテーションを行います。
—お二人は挑戦してみていかがでしたか?
加藤 事業開発のノウハウを学び、プレゼンでの伝え方もブラッシュアップすることができました。でも、1番の収穫は人との出会いです。私は個人で参加したのですが、多くの大学から起業に興味を持った学生が参加していて。自分と同じような志を持っている仲間がたくさんできたのがうれしかったです。後に別のタイミングで「STAPS」に参加した人から、一緒に事業に関わるメンバーにも出会えました。
水谷 私も「同世代の人たちがこんなに頑張っているんだ」と知ることができたのが、1番大きかったです。最終発表のときも、「自分のアイデアを絶対に実現させるんだ」という強い思いが各チームから伝わってきて、とても刺激を受けました。
—片岡さんと加藤さん、水谷さんとの関わりや、2人の印象について教えてください。
片岡 私はメンターとして2人と関わっていましたが、特に加藤さんは「STAPS」に当初1人で参加していたので、直接対話する機会が多かったですね。「そもそも市場に顧客はいるのか」「その形で顧客に受け入れられるのか」など、メンターや先輩起業家と何度も対話を重ねて事業と向き合っていました。水谷さんは6名で参加していたので、チームとして対話をしてきましたが、個性的なメンバーをまとめる接着剤のような存在という印象でした。チームが2位と同等の優秀賞を受賞したのは、水谷さんの貢献があってこそだと思います。
潜在的な力が引き出され、高まっていく
—お二人それぞれ、学内外のビジコンやプログラムに挑戦してきた中で、課題に直面したことはありましたか?
加藤 私は4年生に進級するタイミングで1年間休学し、その期間に起業しました。実証実験(※2)も行ったのですが、なかなか次の展開につなげられず、大きな壁を感じました。ビジネスとして継続させるためには、サービスのブラッシュアップはもちろん、費用や人員の問題、役割分担など多くの課題があると実感しました。
水谷 事業に関わるメンバーが増え、自分の強みを模索する中で、仮説検証(※1)を行う役割を担うことになりました。実際に現場でサービスを使っていただいてヒアリングを行うのですが、それまでは大人と関わる機会があまりなかったので、最初はとにかく怖かったです。でも、数多くの現場に足を運んでいくうちに、少しずつ慣れていき、楽しくなりました。仮説検証をする中で、オンライン会議よりも、話したくても話すことができない人に本当はニーズがあるのではないかという意見が出てきました。そこから喉頭がん患者の方や介護の現場で使えるサービスに方向を変えることになりました。
※1 仮説検証:新しいサービスやアイデアを考えるとき、人はまず「きっとこうである」という前提(仮説)を立てる。この仮説を小さな実験や試作品(MVP)によって確かめ、正しいかどうかを検証することを「仮説検証」と呼ぶ。結果をもとに仮説を修正し、再び試すというサイクルを繰り返すことが、新しい事業を進めるうえで重要である。(参考:経済産業省「DXレポート2.1」2021年)
※2 実証実験:仮説検証で有望と判断されたアイデアを、本番に近い条件で試してみることを「実証実験」と呼ぶ。実際の利用環境や多くの人に試してもらい、効果や問題の有無を検証する。これは事業化に向けて、現実の環境で役立つかどうかを確認するための重要な段階である。 (参考:内閣府「モデル実証事業 成果報告」2025年)
—片岡さんと椙山先生は、さまざまな経験をしてきた2人の成長をどのように感じていますか?
片岡 先ほど水谷さんが話してくれたように、「大人と関わるのが怖い」という学生さんは多いです。でも「STAPS」などのプログラムを通じて、仮説検証を繰り返していくことで、行動する力や人に伝える力が身に付いていく。2人ともその力がどんどん高まっていると感じます。
椙山 私は「成長」というよりも、それぞれが持っていた潜在的な力が引き出され、その力を表現する場を得ていったという印象を持っています。加藤さんは、臆せず人に相談に行けるところが強みなので、それを生かして多くの経験を積んでいけたと思います。水谷さんは好奇心旺盛なところが強みで、学内外での経験を通じてその好奇心がさらに膨らんでいったという印象です。あとは、プレゼン資料がとても良くなったので、アイデアを形にして人に伝えるスキルも向上したと思いますね。
偶然の出会いから、未知の可能性が開ける
—同じ大学でそれぞれの道を歩んできた加藤さんと水谷さんですが、2人が出会ったのは実は最近だと伺いました。経緯を教えていただけますか?
水谷 「STAPS」の後に挑戦した「Tongaliアイデアピッチコンテスト」で海外チャレンジ賞を受賞して、インド研修への参加が決まり、チームメンバーの中から私が行くことになりました。その名簿を見たら、加藤さんの名前があったんです!
加藤 私は同じ研修に、違うルートで応募していました。私も、事前に届いた参加者名簿を見て、「椙山の人がいる!」と驚きました。同じ大学に通っているのに、インドで初めて出会ったんです。
—出会ったときのお互いの印象はどうでしたか?
加藤 水谷さんと話をしていく中で、椙山先生や佐々木先生、STAPSのメンターの方々など、今までに相談してきた人が共通していることが分かりました。私と同じ悩みを持っていて、似ているところもたくさんあって。インドの研修中、深夜までずっと話していたのを覚えています。
水谷 私は今まで、リーダーよりもサブリーダーのようなサポートの立場にいることが多かったので、加藤さんのように自分がリーダーとして引っ張っていくような椙大生に出会えたのは、すごくうれしかったです。私にとっては憧れであり、刺激をもらえる存在です。
—椙山先生は2人の関係性をどのように見ていますか?
椙山 加藤さんと水谷さんは入学した年が違うので、もともと面識がなかったんですよね。私はどちらもよく知っていたので、どんな化学反応が起こるのかなと楽しみにしていたら、インド研修の後で「なんでもっと早く紹介してくれなかったんですか」って2人に怒られたんですよ(笑)。加藤さんと水谷さんは、性格がすごく似ているというわけではないですが、やってきたことや見ている方向が似ているので、共有できることが多いんだろうなと思います。
—良い仲間に出会えたんですね。2人は今後、どんな働き方や社会との関わり方を目指していますか?
加藤 在学中に起業した会社は、今は閉業しましたが、当時取り組んでいたサービスの内容はメンバーの1人が引き継いでくれました。私は大学卒業後、メーカーへの就職が決まっています。起業したときに経営の難しさが分かったので、まずは社会人として経験を積み、組織や経営に対する解像度をもっと上げていきたいと思っています。そしていつかはまた自分で何か事業を形にすることにも挑戦したいです。
水谷 私は4年生後期から休学をすることにしました。インドでの経験と就活を経て、働く人の幸福度について考えるようになったんです。日本と比べてインドの人はとても楽しそうに働いている印象があって。休学期間に海外を旅しながら勉強して、自分が得たものをイベントなどで表現してみたいと考えています。今までのようなサブリーダー的な立場ではなく、自分がリーダーとして何かを形にしたいです。
—2人のこれからが楽しみですね。最後に、皆さんから高校生に向けてメッセージをお願いします。
加藤 私は自分の考えをとにかく人に話すところから始めてみて、どんどんつながりが広がってアイデアが実現していきました。まずは怖がらずにやりたいことを伝えてみてほしいなと思います。
水谷 自分が高校生のときは、今見えている景色が世界の全てだと思っていました。でも大学に入ってみると、視野がすごく開けたし、これからもっと広げていきたいなと思っています。今いる世界が全てじゃなくて、たくさんの可能性があるよ、と伝えたいです。
片岡 椙山女学園大学は、学生の皆さんに多様な選択肢を提示してくれる大学であり、親身に相談に乗ってくれる大学だなと感じています。新たな可能性が開ける場所だと思うので、ぜひ一歩を踏み出して、色々なことに挑戦してほしいですね。
椙山 自分の進む道を早くに決めてしまう必要はないと思っています。大学に入って偶然見つかった出会いや機会をきっかけに、手探りでいろいろやってみたことが、後から振り返ってみると1本のストーリーになっていく。そうやって学生が自分の道を探すプロセスに関わり、支援していくことを大切にしている教員が、本学にはたくさんいます。ぜひここでやりたいことを見つけてほしいなと思います。