情報デザイン学科・文化情報学科:AIキャラクタの印象形成と性格設計を探究 — HAIシンポジウム2026で学生が研究成果を発表

ニュース

このニュースのポイント

  • 外見と音声の「整合性(マッチ度)」が信頼感を左右することを実証
  • 教育支援AIにおいて「性格設計」が印象に与える影響を分析
  • 両発表とも多くの聴講者に囲まれ,活発な議論が行われました
 
2月27日(金)・28日(土)に、HAIシンポジウムが近畿大学東大阪キャンパスにて開催されました。情報デザイン学科・文化情報学科の早瀬光浩准教授の研究室に所属する文化情報学科4年⽣2名 石川菜月さんと髙野真莉菜さんがAIキャラクタの印象形成および性格設計に関する研究成果を発表しました。

HAI(Human-Agent Interaction)は、エージェントやロボットと人との関わりを研究する分野であり、外見や音声、身体性、知能設計などを通して、人と人工エージェントのより良い関係構築を目指します。
 

石川 菜月さん:擬人化対象における外見と音声の整合性が印象形成に与える影響

本研究では、擬人化した対象(キャラクタ)の外見と音声の整合性(マッチ度)が、信頼感や好感度といった印象形成にどのような影響を与えるかを実験的に検証しました。
 
従来は「声が高い/低い」といった音声特性そのものが信頼感に影響すると考えられてきました。しかし、本研究では音声単独ではなく、外見との整合性が信頼感を媒介する主要因であることを示しました。
 
整合条件ではマッチ度および信頼感が有意に高まり、不整合条件では違和感が顕著に増大する傾向が確認されました。本成果は、対話エージェント設計において視聴覚の統合的デザインが重要であることを示唆するものです。
 

髙野 真莉菜さん:自己評価支援を目的とした教師的AIキャラクタの性格設計と印象分析

本研究では、児童の自己評価の振り返りを支援する教師的AIキャラクタを想定し、AIの性格特性の設計が利用者の安心感や評価にどのような影響を与えるかを分析しました。
 
神経症傾向の高低を操作した発話文を生成し、音声付きキャラクタによる印象評価実験を実施した結果、AIの性格と利用者の自己評価状態との組み合わせにより、安心感や教師評価が変化することが示唆されました。
 
本研究は、教育支援AIにおいて「どのような性格を設計すべきか」という実践的課題に対し、実証的知見を提供するものです。

当日の様子

両発表とも多くの学生・大学院生・教員および企業関係者に囲まれ、終始活発な質疑応答が行われました。
両名は「気がついたら終了時間になっていた」と語るほど、絶え間なく説明と議論を続けていました。
ポスター前での議論は途切れることなく続き、HAI分野における関心の高さと、本研究テーマの学術的意義がうかがえる発表となりました。
 

今後の展望

今回の成果は,対話エージェントや教育支援AIの設計指針の高度化につながるものです。
今後は

  • 外見・音声・表情を統合した印象デザインモデルの構築
  • 利用者状態に応じた適応的エージェント設計
  • 実環境での応用検証

へと発展させていく予定です。

早瀬研究室では、引き続き「人とAIがより自然に関わるためのデザイン」をテーマに研究を進めていきます。
 

学生の声

石川さんのコメント

「生成AIや二次元キャラクターの視聴覚表現に関する、身近な体験や日常の中で抱いた違和感を出発点として研究に取り組みました。当日は想像以上に多くの方からご質問をいただき、終始活発な議論が交わされました。専門家の方々に研究内容について真摯にご意見をいただけたことを、大変光栄に感じています。
今回の発表を通じて、自身の研究を客観的かつ分かりやすく伝えることの難しさと、その奥深さを改めて実感しました。この経験で得た視点や探究心を、今後社会人としての活動にも活かしていきたいと考えています。」

髙野さんのコメント

「教育支援AIの設計について、たくさんの反応・意見をいただき、教育現場におけるAIの注目度や可能性を改めて感じました。発表では多くの方と議論することができ、より多くの視点から本研究について考えることができました。
今回の経験を、今後社会の中で新しい価値を生み出していくために活かしていきたいと考えています。」
 

指導教員コメント(早瀬 光浩 准教授)

HAI分野の中心的テーマに対し、学部生の段階でここまで実証的研究としてまとめ上げたことを大変頼もしく感じています。両研究とも、理論的意義と応用可能性の両面を備えています。今回の議論を糧に研究がさらに発展していくことを期待しています。

二人ともこの春に卒業し社会人となります。研究室としては少し寂しさもありますが,本研究で培った探究心と分析力をそれぞれの進路で発揮し、社会の中で活躍してくれることを願っています。