情報デザイン学科・文化情報学科:共感するAIを開発 学生が人工知能学会で研究発表
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このニュースの3つのポイント!
- 人工知能学会全国大会で、共感するAIに関する研究を発表
- 日本語共感的音声対話コーパスを使用して共感性を向上させた生成AIを開発
- 共感性を持つAIは、人間らしさを感じやすく、信頼されやすいことを実証
5/28(火)から5/31(金)にかけて浜松市で開催された人工知能学会全国大会(第38回)で、早瀬光浩准教授の研究室に所属する笠井有華さん(文化情報学科4年)が研究発表を行いました。
この学会は、国内の人工知能研究に関わる最新の成果の発表や議論が行われます。笠井さんは「対話型AIの共感性向上へのアプローチ」と題して、生成AIについての研究発表を行いました。
この学会は、国内の人工知能研究に関わる最新の成果の発表や議論が行われます。笠井さんは「対話型AIの共感性向上へのアプローチ」と題して、生成AIについての研究発表を行いました。
笠井さんの発表テーマはトレンドであることから、80人(現地・オンライン合わせて)を超える方々が聴講し、会場では立ち見が出るほどでした。また多くの学生、教員、企業の人たちから様々な質問をいただき、研究の発展の可能性が期待されました。
生成AIは機械的?
近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの進化により、人と会話することで様々なタスクを行えるAIが続々と登場しています。しかし、これらのAIは目的のない雑談や共感的な応答に関してはまだ課題があります。解決策を示すことはできますが、人に共感したような応答の精度はまだ十分ではありません。
そこで本研究では、既存の大規模言語モデル「rinna/japanese-gpt-neox-3.6b-instruction-ppo」を使用し、日本語共感的音声対話コーパスを用いてファインチューニングを行うことで、AIの共感性を高めることを目指しました。これにより、自然で共感的な応答が可能なAIモデルが誕生しました。
AIが人に寄り添っている?
ファインチューニング(学習)前後のAIモデルの出力に対する印象評価を実施した結果、学習前のモデルの応答よりも学習後のモデルの応答の方が、より生き生きとし、親しみやすいことが明らかになりました。また、学習後の応答は信頼され、従う可能性があることが示されました。
今後は、さらに多様なシチュエーションや感情に対応できるモデルの開発、そしてテキストだけでなく音声や表情などのマルチメディア情報を活用することも検討されます。
未来はAIがベストフレンド?
この研究により、共感性が向上したAIモデルが開発され、人間に近いAIとの対話が可能になる新たな可能性が示されました。この成果は生成AIのさらなる発展に寄与するだけでなく、人々の日常生活やさまざまな業界におけるAIの利用の幅を広げる可能性があります。共感するAIは教育、医療、エンターテインメントなどの分野で特に重要な役割を果たすことが期待されています。これからのAIの進化と応用に大いに期待が寄せられています。
そんな未来を一緒に作ってみませんか?
笠井さんのコメント:
学会発表にあたり、対話型AIに関する知識を深め、その中で学ぶことの楽しさを改めて実感することができました。
発表後にいただいた質問の中には、私が疑問として思い浮かばなかったものが多くあったため、いただいた質問をもとに研究をさらに進めていきたいです。
指導教員のコメント:
大変多くの人が聴講し、本テーマが今後ますます重要になることを確認できました。笠井さんは昨年度の卒業研究を引き継ぐ形で研究をスタートさせたばかりです。初めての学会発表だったこともあり、緊張していましたが、堂々と発表が出来ていました。今回いただいた意見等を参考にますます精進することを願っています。