言語学、文化、文学、教養、哲学など、外国語学部の研究分野は多岐に渡ります。
興味関心にあわせて2つのゼミを選択して学びを深め、多角的な視野を養います。
 

1つ目のゼミ

所属学科、所属コースの中から選択可能。卒業論文を書くことを目的に、興味関心のある分野を研究します。
 

2つ目のゼミ

学科・コースの垣根を超えて、興味のある分野のゼミを自由に選択可能。「修得した外国語を使って」研究することで、語学力を確かなものにします。

英語英米学科

小澤英二 教授 アメリカ大衆文化

音楽や映画などの大衆文化の研究は、それを支えている時代や社会、人々について考えることです。またそれは同時に、もしその音楽や映画に積極的に志向した「わたし」がいたとすれば、その自分とは何かについて考えることでもあります。またそれには、「わたし」に影響を与えた他者や環境あるいはその関係性を明らかにすることが必要です。本ゼミでは、大衆文化を研究対象として模索し、知的に論理立って追求することで、これまで感覚的に受け入れていたものに対して疑問を持ち、それを他者と共有する力を身につけていきます。

笠原正秀 教授 異文化コミュニケーション論

異文化レベルにおける対人コミュニケーション上の問題(誤解や摩擦・軋轢、またその解消のしかたのちがい)や異文化適応・不適応といったカルチャー・ショックに関係する問題を主な研究対象としています。その他にも、日本に住む外国人や海外に住む日本人が直面する異文化間の問題、また異文化コミュニケーションの際に生じる否定的な側面としての偏見や差別、嫌悪や憎悪、そして人間であれば避けることのできないエスノセントリズム的な考え方やステレオタイプ的な物事の見方など、ミクロ(微視的)・マクロ(巨視的)の両視点からの研究を射程としています。

児玉恵太 講師 文学教材、英語教育研究

このゼミでは、第二言語としての英語教育において、文学教材の使用が日本人英語学習者の語学力および総合的コミュニケーション能力にどのような影響を与えるのかについて考えます。文学教材は英語の豊かな表現力、異文化理解力、さらに多面的な思考力や想像力を養うことのできる優れたオーセンティックな教材です。こうした文学ならではの特性を生かして、広義の意味での英語で書かれた小説、または歌詞を含む詩などを幅広く取り上げ、文学を用いた様々な活動を通して英語を「学ぶこと」「教えること」について考察します。

芝垣亮介 教授 言語学

このゼミでは、言葉をその意味や構造の観点から分析しています。言葉というのは全ての人間が等しく所有しているものであり、言葉を分析することで、それを話す人の文化や認識様式が見えてきます。データとしては日本語や英語を取り扱いますが、それらの言葉自体ではなく、それらの言葉を通して人間の言葉の特性を探ります。一つの小さなデータを丁寧に根気よく掘り下げていくスタイルです。知識を習得するのではなく、自分で問題や答えを創っていくことに重点を置き、複雑化するこれからの社会で活きる力を育みます。

戸田由紀子 教授  英語圏文学

全ての人は考え方に偏りがあります。その偏りを価値観といいます。英語圏文学を学ぶと世界中の様々な地域・民族・時代における価値観に触れることができます。それにより他者を理解し、価値観の違いを認められる豊かな人間性が身につきます。私のゼミでは、アメリカ、カナダ、マレーシア、インド、ジャマイカ、南アフリカなど、日常的に英語が使われている地域の文学作品を読み解き、人種、ジェンダー、階級、セクシュアリティ、宗教といった切り口から多様な文化の様相や思想について考察します。

長澤唯史 教授  現代アメリカ文化・比較文化研究

私たちの身近にある文化は、長い歴史と様々な社会背景の中で作られてきたものです。このゼミでは、音楽、映画、テレビなどのポップカルチャーを通して、私たちの生きている世界のあり方や現代という時代などについて考えていきます。何を研究対象とするかではなく、どのように分析するかという方法を学ぶことが大事です。そのための題材として、アメリカだけでなく日本や韓国その他の地域のさまざまな文化表現や作品を採り上げます。そしてそこに共通するものとそれぞれの地域や時代、ジャンルを特徴づけるものを探してみましょう。その先に、今の自分を形作っているものが見えてくるはずです。

藤岡阿由未 教授  イギリス演劇──「語られない現実」に向き合う劇場体験

このゼミでは、イギリス演劇を通してイギリス・英語圏の社会における今日的な課題について研究します。舞台芸術には、共同体が抱える「語られない現実」を見つけ出し、問題を「語る」(議論する)という重要な機能が備わっているため、社会に必要不可欠なものとして古代から現在まで続いてきました。劇場の外では「語られないけれどもそこにある現実」を我が事として、観客は劇場で「仮に」体験し、多様な価値を検討することができます。ゼミでは、ミュージカル、ダンス、演劇などを通してイギリス・英語圏の今日の多様な課題を発見し、検討する方法を習得します。

水島和則 教授 アメリカ社会論、アメリカ映画研究

ーアメリカ研究を通して、新しい社会の姿とイノベーションの条件を探るー
ゼミの研究テーマは主に3つで、米国が「覇権国」となっている世界秩序のあり方と地球規模の課題についての考察、「移民の国」における「多様性と包摂Diversity & Inclusion」の現状、とりわけ階級/人種/ジェンダー/性的マイノリティについての研究、さらに、映画産業論を題材にしたテクノロジーとイノベーション、クリエティビティとの関連です。
また、ゼミでは問題解決と価値創造の方法論である「デザイン思考Design Thinking」 の習得にウェイトを置いており、チーム単位でプロジェクト型の社会課題解決に取り組みます。このため、公共機関や企業と協力して活動することも多く、仕事に活かせるスキルを身につけることにつながります。

国際教養学科

尹芷汐 講師  アジアの比較文学・文化研究

このゼミでは、近現代日本とアジア諸地域の文学・文化を対象に比較研究を行います。具体的には、(1)日本と中国、韓国、台湾など各地域の文学・映画・サブカルチャーにおける他者と自己表象、(2)日本と各地域における文学・映画・サブカルチャーの翻訳と受容およびテクストの比較、(3)アジアの女性文化およびジェンダー表象、という三つの軸で考察を進めていきます。歴史的文脈を踏まえつつ、比較的観点を持って研究していくと、「日本文学・文化」あるいは「地域名+文化」としてカテコライズされてきたものが、いかに周囲と結びつきながら形成してきたかを発見できるでしょう。

伊藤信博 教授 異文化理解と日本文化研究

異文化理解を含めた日本文化研究を扱っています。西欧との交流は室町時代後期に始まり、この時代に製作された絵巻・奈良絵本などの文芸作品は海外では高く評価されています。そして、アニメやマンガなどの現代日本文化の源流の多くはこの時代に求められるのですが、その点を研究した論文も少なく、一方、この時代の作品の多くは海外に流出し、海外の日本学研究者はこれらの資料を使い、とても多くの研究を行っています。上述したように、これらの作品の多くが海外に所蔵されるため、日本人研究者の多くは海外での調査を中心に行っており、私もフランス、ドイツ、アイルランドを中心に20年近く海外蔵本の調査を進めていて、画像も大量に所蔵しています。このようなことから、海外の研究者と共同研究を行い、世界の中からみた日本文化研究、さらに異文化理解研究として、この時代を対象に研究をしています。そこで、私が持つ絵巻や奈良絵本の画像を中心に、日本文化の源流である室町・江戸文化への理解を深め、当時の国際交流の軌跡や世界からみた日本文化、日本が誇る寺社や宗教美術研究、性差の歴史・文化研究、異文化理解研究という形で、学生が興味を持つ分野への理解を深めるゼミとしたいと考えています。

加藤泰史 教授 哲学・ドイツ文化/ドイツ社会/ドイツ環境政策・ドイツ語

現代では「ファクト」と「フェイク」がネット上で混在している上に、後者の方が影響力を持ち、「ポスト・トゥルースの時代」とさえ呼ばれています。この点で現代ほど善く生きることが困難な時代もないのかもしれません。しかし、そうした社会状況だからこそ善く生きることがますます重要になりましょう。このゼミでは「フェイク」にも絡めとられず感情にも流されないために、批判的思考と豊かな感受性を身に付けるとともに、幅広い関心と想像力を持って現実というテクストに立ち向かうことを目指します。それはより善く生き抜くために不可欠の作法でもあります。さらに、ドイツ文化・ドイツ社会・ドイツ環境政策・ドイツ語などに関心を持っている方も大歓迎です。

田中一輝 准教授 歴史研究、中国史研究、中国思想

歴史を学ぶことの意義・効果の一つに、現在を生きる自分自身の価値観の相対化があります。過去の価値観と現在を生きる自身のそれを対比させることで、自分の価値観が当たり前ではないこと、それが流動的に変化し続ける価値観の一つでしかないことを知ることができ、さらにそれを外国の歴史を対象として行えば、より効果的な相対化を行うことが可能となります。私のゼミでは、主として中国の歴史・思想を素材としてこれらを研究し、自身の価値観をより多様なものにすることを目指します。

田所光男 教授 ヨーロッパ多元文化論

フランスは世界で外国人観光客の数が一番多い国ですが、もちろんいつの時代もそうであったわけではなく、もともとは地中海文化圏の中で辺境の一地域であり、特に古代ローマの文明を受容して文明化の途に就き、近代に入って、ヨーロッパはもとより世界の中心のひとつとなりました。自由・平等・友愛というフランス共和制の理念は魅力的です。しかし、その輝かしい達成の陰には、残念ですが黒歴史が並行していることも事実です。このゼミでは、こうしたフランスを含む近代西欧の光と影を同時に視野に入れて、21世紀の世界の行く末を考えてみたいと思います。

鄭麗芸 教授 中国語学、東洋文化比較研究

 本ゼミは、比較の視点から日中の言語や文化に関する研究を中心とします。とくに、母国文化を主軸にして、学んでいる中国語や文化などの知識を生かしながら、身近な日常生活から関心のあるテーマを各自設定します。そこから指導を受けながら、文献資料の調査や収集に努め、考察や探求を行います。そして常に自問自答しながら比較研究を心掛けます。また自分のテーマに集中するだけではなく、他のゼミ生のテーマにも広い関心を持ち、ゼミでの発表やデスカッションを通してお互いに切磋琢磨し、充実した研究を進めていきます。これによって、異文化への理解を深め、コミュニケーション能力を高めるとともに、国際教養を身につけましょう。

堀田あけみ 教授 日本語表現研究

このゼミのキーワードは、「日本語による表現」です。日本で生まれるエンターテインメントが世界を席巻している現状を理解した上で、それらはどこまで「通じて」いるのかを考えます。逆に、他国の文化を享受する側に立ったとき、何を「理解できていない」と感じるかも考えてみましょう。ゼミでの活動は二つあります。英訳された日本作品や、日本でもよく読まれている外国作品の原典に触れるという受け手としての学び。そして、日本語を操り新しい文章を表現する送り手としての学びです。日本語を丁寧に読んで、書く。この経験から得られる力は、どのような未来においても、大きな助けになります。