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第39回椙山フォーラムを開催しました

第39回椙山フォーラムを開催しました

2018.12.03

 12月1日(土)に椙山人間学研究センター主催の第39回椙山フォーラム「アートの持つ力:普遍性・共同性」を開催し、140名の方にご参加いただきました。
 第1部では、株式会社アートフロントギャラリー代表取締役会長の北川フラム氏が「地域づくりとアートワールド」と題して、美術というものは、本来は地域の特質を表し、それが地域の人々の誇りとなってきたが、ギャラリーや美術館での展示が主となった今日、美術作品そのものが哲学的、イデオロギー的に解釈されるようになり、人々の生活と乖離し、現代の課題に応えられないのではないかということを話しました。また、これらを解決していく糸口として、芸術祭を開催することにより、単に芸術作品だけを捉えるのではなく、開催地での人々の生活感(衣・食・住)を一体として捉えることにより、本来の美術の様相が再生されると説明しました。
 具体例として、瀬戸内国際芸術祭2019の開催を取り上げ、地域の特色から瀬戸内海の島々の文化的つながりを重視し、①瀬戸内海の資源、②島の「食」、③アジアの各地域と瀬戸内海の島々、④芝居・舞踏などによるコラボを行い、その地域だけが盛り上がれば良いという考えではなく、より広い大きな繫がりを求め、グローバルに発展していくことを説明しました。
 第2部では、神戸大学大学院国際文化学研究科教授の窪田幸子氏及びあいちトリエンナーレ2019キュレーターの鷲田めるろ氏が講演に対するコメントを発表しました。
 窪田幸子氏は、オーストラリアの先住民であるアボリジニのアートについて、もともとは部族の日常生活の一部であった神話を描いていたが、美術工芸品として多くの人々から高い評価を得るようになっていることを紹介しました。続いて、鷲田めるろ氏は、金沢21世紀美術館の特徴として、展覧会を見に来るのではなく、美術館の建築やその周りの街並みといった空間をも楽しむ体験型の仕掛けにより、何度も足を運ぶ人々の存在があることを話しました。
 第3部の総合討論では、講演者とコメンテーターによる活発な意見交換が行われ、盛況のうちにフォーラムは終了しました。