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国際言語コミュニケーション学科

国際言語コミュニケーション学科

ことばの形はひとつではない

私が現在の研究分野に進んだきっかけは、メルボルン大学の修士課程に在籍していた時、第二言語習得(S L A)とWorld Englishes(WE)の授業を履修したことでした。そこで出た課題が、SLAでは日本人英会話のエラー分析、WEでは会話の日本人らしい特徴分析でした。例えば、英語の発音一つにしても、アメリカ人とイギリス人のアクセントは違います。それなのに日本人のアクセントの違いは、違いに「ま」が付いた「間違い」と判断されることが多いです。多文化・他民族社会であるメルボルンで生活する中で、同じ会話を分析しながら正解が一つしかないと決めつけるより、複数の形を認める考え方の方が良いと思いました。また、大事なのはいかに相手に合わせるかではなく、相手に自分を分かってもらうかだと感じました。

最大の自己アイデンティティーの表現

現在の研究テーマは、World Englishes(世界諸英語)/English as a Lingua Franca(共通言語としての英語)です。日本人のあいづちの使い方を中心に、日本人にとっての英語インタラクション(会話の相互やりとり)の中でのあいづちの意味と機能、そしてそのあいづちの価値がシェアされていない異文化間コミュニケーションの中でどんな摩擦と交渉があるのかを研究しています。細かすぎてマニアックだとよく言われますが、自分でもそう思います。でも、個々のインタラクションを見れば見るほど、無意識の行動と思われていることが実は意識と価値観に裏付けられた行動であることが分かってきます。私たちにとって言葉とそれを使ったコミュニケーションは最大の自己アイデンティティーの表現なので、「自分は何を考えてどんな行動をしているんだろう」、「それをどうやって人に伝えているんだろう」と考えることは、とても楽しいです。

PROFILE

池 沙弥准教授 Saya Ike
一般企業に就職後、留学への憧れを捨て切れずに退職。
オーストラリアのメルボルン大学で修士号と博士号(University of Melbourne PhD in Languages and Li ngui sti cs)を取得。その後、幼稚園児を対象とした英会話教室、小学校外国語教育の講師、中学校・高校英語教員、大学英語教員を経て、2014年4月から本学国際コミュニケーション学部国際言語コミュニケーション学科に着任。2017年4月から現職。専門分野は、社会言語学、World Englishes。

学生へのメッセージ

人生において最大のスパイスは「興味」だと思います。身の回りを見渡して、「なんで?」と思えるものがあったら、また、人 や自分の言動に対して「なんで?」と思えたら、それがあなたの興味の素です。その興味はいつか社会への貢献につながり ます。学生一人ひとりに、この社会で「なくてはならない一人の人間」になってもらいたいと思います。

大学報「風」Vol.51より

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