先生たちの研究室をのぞいてみよう!
子育て支援の必要性を感じて
韓国仁川市の教育大学を卒業後、4年生の担任として初めて小学校に赴任しました。1日が終わり、子どもたちが帰宅すると、毎日のように親御さんが相談にやってきました。新任教員にもかかわらず、真剣にお話いただくその姿から、我が子への深い愛情と子育てに対する心配や不安な気持ちが伝わり、少しでもお役に立ちたいと思うようになりました。 一方で、子育て支援に関する勉強不足を感じていたところ、大学時代に交換留学生としてお世話になった日本の大学の指導教官に大学院進学を勧められ、もう一度学ぶことを決めました。元々、小学校教育教員養成に関心を持っていましたが、大学院では、幼稚園教諭・ 保育士養成へ専門分野をシフトさせ、以来、子どもやその家族の支援を含む保育者養成に従事してきました。
各家庭に貢献する研究成果を
現在まで「親と保育者の省察」をメインテーマに、保育所や幼稚園の保護者と保育者に実践プログラムを提供し、その効果を調べてきました。例えば、「今までの子どもとの関わりを振り返ってみましょう」、「今後どのように子どもを育てていきたいですか」などを考えていただくもので、親御さんを対象にした研究の結果として、養育態度の改善や育児ストレスの軽減といった効果が確認されました。このような子育て支援や保育者支援に関する研究成果が注目され、幼稚園・保育所の園内研修会や、現職教員を対象とした研修会などに講師として参加することもあります。私自身にとって、保育という分野の魅力は、研究の成果を保育実践や各家庭の子育てに直接的に寄与し得るところです。今後も子育て家庭および保育の現場に役立つ知見を発表していきたいです。
PROFILE
- 朴 信永准教授 Shinyon Paku
- 韓国の公立小学校に就職後、鳴門教育大学大学院入学とともに退職。同大学院で修士号(教育学)、広島大学大学院 で博士号(心理学)を取得。その後、宇部フロンティア大学短期大学部の専任講師を経て、2011年4月から本学 教育学部子ども発達学科に着任。2016年4月から現職。 専門分野は、発達心理学、子育て支援、保育者支援。
学生へのメッセージ
アメリカの教育心理学者アンジェラ・ダックワース氏は、成功した人たちの共通点としてGrit(やり抜く力、粘り強さ)を挙げています。2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏も柔軟性とあきらめない執着心が大事と語りました。今、興味を持っていることに全力投球する、迷ったときはあえて少し難しそうな道へ進んでみる。小さな挑戦の積み重ねが、大きな夢の実現への下地になるでしょう。
大学報「風」Vol.52より