「ポスト・トゥルースの時代」を生き抜くために「ものの見方」を批判的に問い直してみる
現代では「ファクト」と「フェイク」がネット上で混在している上に、後者の方が影響力を持ち、「ポスト・トゥルースの時代」とさえ呼ばれています。この点で現代ほど善く生きることが困難な時代もないのかもしれません。しかし、そうした社会状況だからこそ善く生きることがますます重要になりましょう。このゼミでは「フェイク」にも絡めとられず感情にも流されないために、批判的思考と豊かな感受性を身に付けるとともに、幅広い関心と想像力を持って現実というテクストに立ち向かうことを目指します。それはより善く生き抜くために不可欠の作法でもあります。
加藤泰史 教授 プロフィール
専門は哲学・倫理学で、特にカントなどの近現代ドイツ哲学・現代哲学・応用倫理学を研究しています。最近は、カント哲学との関係で左右田喜一郎や和辻哲郎などの近代日本哲学研究にも取り組んでいます。科研費の研究プロジェクトでは「尊厳」概念の共同研究に継続的に携わっていますが、いずれ夏目漱石の『文学論』を哲学的記号論の観点から読み直すとともに、そこから創作の技法を学んで小説「国立(くにたち)物語」を書く予定です。なお、2020年秋から日本学術会議連携会員になりましたが、任命拒否問題には「学問の自由」の危機を感じています。